「女言葉」と「タメ語」への翻訳の違和感

最近、海外の女優や女性歌手がインタビューを受けた際に、その翻訳に「女言葉」and/or「タメ語」が使用されるのが気になっている。こんな記事も読んだし。

ビョークの「女ことば」への翻訳の違和感と、男尊女卑の歴史を持つ日本語を巧みに使い分ける宇多田ヒカル - messy|メッシー 

何が問題になっているのかというと、外国の女優さんや歌手へのインタビューを日本語以外の言語で行い、それを日本語に翻訳する際に「女言葉」に翻訳するということだ。記事に挙げられているビョークのインタビューを見ると、「女言葉」だけでなく「タメ語」にもされている。「その両方というのが、一番しっくりくると思う。私にとって、VRという新技術はミュージックビデオのとても自然な発展形なの。」みたいに。

このビョークのインタビュー以外にも、例えば、『メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロード』という本の中で女性スタッフやキャストは「タメ語」かつ「女言葉」で話している。「撮影が長時間に渡って大変だったのよ」とかね。「タメ語」だけの「撮影が長時間に渡って大変だった」とか、「です/ます」調を使用した「撮影が長時間に渡って大変でした」という翻訳の選択肢があるにも関わらずね。

 「です/ます」調の翻訳もあるにはある。この日本版Varietyのスカーレット・ヨハンソンのインタビューとか。

スカーレット・ヨハンソン、ハリウッドの報酬格差問題について、個人的な経験を議論されることに不快感 | Variety Japan – ヴァラエティ・ジャパン

 でも日本版Varietyのインタビューが全て「です/ます」調で訳されているというわけでもない。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』主演のデイジー・リドリーのインタビューでは、「女言葉」は使われてないけれど終始「タメ語」が使われている。

【インタビュー】デイジー・リドリー、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のレイ役を語る | Variety Japan – ヴァラエティ・ジャパン 

これはこれで結構異様なんだけどね。しかもこのインタビューだと、インタビューアーは「です/ます」調なのにデイジーは「タメ語」だし。なんなのこの違い (笑)

 

訳によって読み手のインタビューイーに対する印象も変わると思うんだけど。 例えば下の3つの文:

  1. 「これはフェミニズムの問題なのよ。」
  2. 「これはフェミニズムの問題(だ)。」

  3. 「これはフェミニズムの問題なんです。」

おおざっぱなこと言うけど、上の3つの中でその話し手に教養を感じるのは3ではないかな。少なくとも、この人は丁寧に話しているな、という印象は読み手に与えられるんじゃない?

 

以下の3つは第89回アカデミー賞作品賞受賞の『ムーンライト』公式Twitterより:

 

 

まあとにかく「わ」が好きなんだなと。「思っているわ」とか「心から祈るわ」とか「信じられないわ」とかとか。わーわー。

 

例えば、ナオミ・ハリス(『スカイフォール』と『スペクター』のマネーペニー役)が「〜だわ」という話し方をするとは到底思えない。上の日本語訳だとナオミ・ハリスが話しているようにどうしても思えない。

例えば、(「例えば」が続くな)「タイムリーかつ重要なメッセージを伝える映画に関われたことに感謝していますし、この映画の一部である事を心に誇りに思っています。」にすると、ナオミ・ハリスの声として読めるんだけどね。

 

日本の女優のインタビューだとどうかなと思って綾瀬はるかのインタビュー探して見つけたのがこれ(日本の女優知らないけど綾瀬はるかは知ってた)。

高台家の人々 インタビュー: 綾瀬はるか、いくつもの変化を経てたどり着いた“幸せな仕事” - 映画.com 

当然のことながら「です/ます」調(まあそうですよね)。

 

先のビョークの発言を「女言葉」も使わず「です/ます」調で訳すと次のようになる。「その両方というのが、一番しっくりくると思います/思っています。私にとって、VRという新技術はミュージックビデオのとても自然な発展形なのです。」

基本的に「女言葉」を使わず「です/ます」調で訳せば?と思いますが。